
平良夏芽さんの話を聞くのははじめてでした。
03年からの海上阻止行動のリーダーとして存在は知っていましたが、えらぶらず、どうやって全体の団結をつくるかという意識で言葉にも気をつけ、かつ運動に対しては厳しい、尊敬できる闘う人だなあという感想を持ちました。
しょっぱなからがつんとやられました。
「私は、『反対運動はしない』と決めてやってきた。反対運動であれば基地建設が進められても『はんたーい!』って言っていたらいい。最初のボーリング調査のくい打ちが行われたとき、私たちは反対運動を行ったが何も止められなかった。反対運動であれば、『私たちは反対した』ですむ。しかし名護の新しい基地建設はぜったいに阻止しなければならない。だから私たちは体を張って実際に作業を止めるための『阻止行動』を行ってきた」
「今日の集まりも、『いい話聞けたね〜』で帰ってしまっては意味がないのです。実際に阻止するためにどうしたらいいか議論を始めてほしい、それなら今日の話が意味があるのです・・」
私自身は、97年の名護の市民投票の応援からこの問題には関わってきて、何度も現地には行ってきましたが、03年以降の海上での攻防の過程は一度も行けていません。それでも大阪でやれることがある!と大阪行動にはいけるときに行こうと思いながら、行けないのを忙しさを理由にしていました。しかし、行く行かないではなく、どれだけ現地の思いを共有できていただろうか・・とハッとさせられました。
平良さんは、クリスチャンで「非暴力」ということも強調されるのですが「完全非暴力ということの意味をわかってる人は教会関係者でもほとんどいない」とうったえられていました。「完全非暴力とは、誰とも対立しないということではありません。ガンジーの言葉で『武器をもつ勇気のないものに、非暴力は貫けない』ということがあります。自分が殴られるのは我慢できても、隣で仲間がなぐられ、やぐらから突き落とされ、流血させられるのを見せられ、我慢できない殺意が芽生える。・・殴られた人が、まわりをなだめ『大丈夫だから手を出すな』という壮絶な中で、暴力を振るった作業員に対して思いやる言葉をかけるのです」にこにこ笑って、衝突を避けていたら、すでに名護の基地は工事に入っていたでしょう。基地建設をとめてきたのは、まぎれもないこの壮絶な実力闘争です。同時に、これは国家権力に雇われた労働者や買収された人たちとの分断と敵対をさせられてきたものでもあります。辺野古のたたかいは、この関係性をも変革させる質を持っています。
これは自分の身を「武器」にして、相手に「殺すのか!基地建設をやめるのか!」を迫っていくというたたかいだと思いました。
辺野古のたたかいによって、日米政府は当初計画を断念させられました。しかし、あらためて辺野古崎での基地建設を合意し、名護市長や沖縄県知事との交渉が進められています。このV字型計画は、実は1960年代に政府が計画していた基地建設案とまったく同じものということです。名護基地建設は、「普天間基地の移設」問題ではなく、新しい最新鋭の基地をつくるという問題です。
普天間基地の機能、そして新基地に隣接するキャンプシュワブは、イラクに出兵する海兵隊の基地です。平良さんは、一刻も早く基地を白紙撤回させ、イラクの人たちに「戦争は止められなかったけど、新しい基地はとめましたと謝りに行きたい」という思いでたたかっています。体を武器にしてまでたたかう根拠には、沖縄を侵略の基地にはこれ以上させないという強い決意なんだろうと思います。
ブッシュの戦争は完全に泥沼に陥っています。2万人増派はファルージャの虐殺を何度でも繰り返すということです。国内でも派兵に反対する声が日増しに高まり、ブッシュが追い詰められています。はっきりさせなければならないのは、日本の航空自衛隊はこの軍隊を輸送し、イラク民衆虐殺に手を染めてきた、今もその役割をになっていることです。
戦争をこれ以上させないとは、「私がどうするのか」にかかっています。
辺野古のたたかいも、「私はやるけど、あんたやらないか〜」ということからはじまりました。「決意したものが1人いれば、仲間はかならずでてくる。」
基地建設は、春にも具体的にはじまろうとしています。「これからは逮捕者が多く出る」と辺野古は覚悟しています。
「辺野古の話を聞いて、誠実に『ごめんなさい、私には何もできませんが』と帰る人がいる。一番悲しい。現地で長期座り込みできる人はそんなに多くなくても、できることはたくさんある。声を上げることができる。私が逮捕されたときも、警察署に山積になる抗議の文書や電話によって、全国の怒りに押されて釈放せざる得なかった。あなたにやれることをやってください!」
同じように国家の威信をかけて反対運動をつぶそうとしてきた三里塚闘争でも、初期の戸村一作委員長(この人もクリスチャンでした)の同じような言葉を見たことがあります。「文章を書ける人は文章を、武器を取れるものは武器を、金を出せる人は金を、声を出せるものは声を。」←ちょっと違うかな。。
そして、辺野古のたたかいを週に3人に話すと決めた人がいます。大阪行動に参加すると決めた人がいます。平良さんの話は、130名の心を変えてしまいました。(写真は1月27日の大阪行動)

家族や友人に、そして職場で、労働組合で、「イラク戦争に反対し、辺野古のたたかいを知り、基地建設をぜったいに許さない行動をしよう」とうったえることが、今の私にできることだと思います。
そして、仲間といっしょに実力闘争に参加したい。そういう仲間をぜったいに職場でつくっていきたいと思います。
